フリーランス

フリーランスの営業事情

フリーランスの長年にわたる悩みのタネ、それは営業行為の煩雑さと業務の不安定さにあるそうです。僕はフリーランスではありますが、それ以前に SE です。世の中にはフリーランス SE 向けに業務を斡旋する専門業者(エージェント)というのがいます。 レバテックフリーランスやギークスジョブなどといった企業ですね。

僕は一時期 IT 営業を専任していたことがあり、そこで体感としてわかったのですが、2010年代後半以降における IT 業界は未曾有の売手市場です。但し、これは一人前の SE に限ります。例えば新卒で大きな問題もなく、3年も実務をこなせれば、それはもう引く手数多といったところです。

エージェントからしても商売道具(=SE)が会社員かフリーランスかくらいの違いしかないでしょうから、人格や勤怠に問題がない SE は取合いになるのも当然でしょう。確実に利益が出るわけですからね。

回りくどい話をしてもアレなので、そろそろ本題、フリーランス SE の営業事情についてお話します。あまりたいした結論でないので先に申し上げると、フリーランス SE は大きなこだわりがない限り当面仕事に困ることはない、ということです。なので、フリーランスを検討されている方は会社に在籍しているうちにエージェントに登録し、職務経歴書の作成や担当との面談を通して、自分の市場価値を確認するとよいでしょう。

尚、相場(月額)としては、3〜5年のプログラマや SE は月額 50〜60万円、5年以上は技術やスコープ(作業範囲)によって変動します。例えば同じ Web システムでも Python、Scala、Go といった先進的な言語は相場より 5〜10万円程度高い印象ですし、プログラミングよりディレクション業務(顧客との調整やプロジェクト管理。プロジェクトマネージメントと同義)の方が 10〜20万円は高く、大規模プロジェクトになれば 100万円超もまったく珍しいものではありません。尚、ここらへんの相場は法人で業務を請ける場合とほとんど違いがありません。不思議とフリーランスだからと安かったり、高かったりはしません。もし今後フリーランスを検討される方はこれらを参考に、自分が楽しめる(無理のない)範囲で高単価を狙うのがよいかと思います。

当然エージェントを介すると手数料がかかるため、クライアントが実際支払う金額よりは受け取る金額は少なくなります。金額だけの話をすれば、コネを使って直接営業するのが理想でしょう。そのために SNS などで人間関係を構築して仕事を請けるのもよいと思います。直契約になれば手数料なしの発注価格で取引が可能になりますが、この場合は以下の点で用心が必要です。

  • (特に発注元が IT 企業でない場合)相場を知らず買い叩かれたり、値引きを要求されたりする。また、支払いに関し優良かどうか判断が難しい。
  • 基本契約書[1] … Continue readingと個別契約書[2] … Continue readingなどの締結が必要であり、発注元によってはこちらから雛形を用意する必要がある(その場合は法務知識が必要)。

僕はエージェントを通して業務を請けており、今後直営業も視野に活動をしていますが、エージェントを利用することは上記のような面倒な契約面を代行してもらっていると認識しています。中抜き〜中抜き〜くやし〜とは思いません。月々数万円で不払いの心配や契約書の不備による問題が解消されるなら安いものだと思っています。それはそれとして、僕が直営業を考えているのは事業拡大に必須だと考えているためです。

ただ、難点だと思うのはまず、クライアント(発注元)の責任者もエージェントも大体は非エンジニアである点です。そのため開発現場での諸問題を本当の意味で理解いただけないということです。エージェントもこちらの悩みや問題などを話せば熱心に聞いてはくれますが、真に理解することは難しいでしょう。まあ、致命的になることはないので今は割り切って考えています。自分の悩みは自分で解決すべきということです。そのためにフリーランスになったわけですから

あとエージェントを使っている所感としてもう一点、会社勤めしていたときとあまり仕事の感覚が変わらない、ということも上げておきます。これは良し悪しの問題ではなくただ所感です。人によって受け止め方も異なるでしょう。会社員 SE は基本的に会社が営業しますが、そこの部分がエージェントに取って代わっただけですが、会社勤めであってもプロジェクトの実作業において会社の看板などは関係ありません。僕はもともと末端エンジニアだった頃から「プロジェクトの全責任者気分で仕事をする」という頭の*った働き方をするので、マイノリティだと思いますが、主体性を問われる仕事に慣れていた、という背景もあると思います。フリーランスには主体性が問われ、よく「フリーランスは成果がなければ即打ち切り」などと言われますが、会社にいた頃から「成果がなければ即打ち切り」気分でずっと業務を遂行していました。寧ろ会社員の方が合っていなかったのでしょう。

一点エージェントを使っていることによる最も注意が必要な点について補足しておきます。それは「クライアントからみると直に契約した場合(社員も含む)と比較して、発注金額に対しコストパフォーマンスが合わないように感じる」という点です。例えばフリーランスエンジニアの月額が 60万円だとして、中小企業の社員で間接費なども含めて 60万円ともなれば本人の給料は 40万円前後となります。中小企業でその給料となると、プロジェクトリーダクラスのトップ SE か管理職です。また、クライアントが直で契約している法人に所属する SE が月額 70万円だとしたら当然それ相応の SE がアサインされることになりますが、エージェントを介したフリーランス SE であれば、実際フリーランスに支払われる月額単価は 60万あたりに落ち着くでしょう。そしてその単価で仕事を請けるのは 70万円でなく 60万円クラスの SE ということになります。つまり、クライアントからすると支払っている金額は同じなのに能力に違いが出ることになります。当然クライアントとしてはこの仕組みを充分理解したうえで発注しています。充分理解はしていますが、70万円支払って 60万円分の業務をこなすフリーランスと、70万円分の業務をこなすフリーランスがいたとしたら評価がどのようになるか、その企業はいずれのフリーランスをどのように扱うかは明らかでしょう。ただ、この点についてはフリーランスに限らず、業界特有の中抜き構造として長い間問題とされていることでもあります。ただ、フリーランスは契約を切られたらそれまでなので会社員よりは充分な用心が必要です。いつでも発注側の気持ちに立つということが何よりも重要だということです。

最後に、エージェントの良し悪しについて触れておきますが、ハッキリ言って担当によると理解して問題ありません。確かに有名な企業や評判のよい企業はありますが、僕は最も評判の良い主要 6社に実際登録して、こちらの期待通り動いてくれたのは 2社だけでした。その 2社は業界トップでも2番手でもありません。エージェントによって傾向はあるようですが、大手はとにかく遅い印象です。僕が大手嫌いだというのを差し引いても遅く感じました。エージェントとのカウンセリングの際、敢えて僕が IT 営業だったことを説明してもその真意を理解していただけたのは 2社、というか 2名だけだったというわけです。どんなに評判のよいエージェントだったとしてもよくない人に当たれば、よくないエージェントに早変わりします。もしみなさんが登録したエージェントの担当がよくない場合、残念ながら担当を変えてもらうことは難しいので、別のエージェントに登録しましょう。大丈夫です。エージェントは現在活況で、ひとつやふたつ候補から外れたところで変わりはいます。

結局は人による。本当、なんでもそうですよね。

脚注

脚注
1 基本契約書:業務委託契約に関する基本的な事由が記載されたもの。個別の取引に関する総則となる契約書。機密保持、契約の自動継続、請求先や支払いサイトなど、業務内容以外が記載されていると理解して良い
2 個別契約書:プロジェクトごとに締結する契約書。業務の受託範囲、成果物、請負契約であれば納期、準委任契約であれば契約期間などが明記される
ABOUT ME
yo
フリーランス、システムエンジニア。

営業・販売、肉体労働などを経て 2007年から IT 業界に従事。文系出身かつ未経験者のため立上りに大変な時間と労力を要する。

新規システム開発を提案から設計・実装・保守・運用まですべての工程を担当する(実装は主にサーバサイド)。その傍ら、他業種・他職種の経験や上記立上りの経験を活かし、教育や業務標準化など、組織の育成に勤む。

私立大学現役合格、現役中退。基本情報・応用情報技術者取得、高度試験はモチベーション確保という観点から見送り。普通免許ゴールド保持者。

趣味は犬。