前回までフリーランスのメリット・デメリットをお話してきました。
今回からは実際に独立するまでに必要な手続きをお話していきます。
手続きの一覧は以下の通りです。
- 独立に向けた情報収集
- 退職日の調整
- 開業準備(開業届+青色申告申請提出)
- 会計準備(事業用銀行口座・クレジットカード申込み、会計ソフトの導入)
- 業務受注(エージェント登録)
- 設備準備(仕事部屋や PC などの設備)
- 社会保険の切替え(社会保険、年金の切替え)
但し、上記は僕自身が進めた順番であり、最初の「独立に向けた情報収集」、最後の「社会保険の切替え」以外はどの順番であっても問題ありません。独立に向けた情報収集をする過程で順番を考えるとよいでしょう。
また、退職日の調整は注意が必要で、現職の状況にもよりますが引継ぎ期間を考慮していないと遺留を求められたり、トラブルの原因となるため、余裕をもって調整するようにしましょう。詳細は別途記事のなかで言及します。
実際僕が独立した際のスケジュールは以下の通りです。
- 2月〜3月中旬:独立に必要な情報収集
- 3月下旬:退職の申し出 → 5月末退職で確定(5月中は有給消化)
- 4月上旬:開業準備、会計準備
- 4月中旬:エージェント登録 → プロジェクト確定
- 4月中旬:設備準備(備品などの買込み)
- 5月連休:設備準備(部屋の改装)
- 5月連休明け:フリーランスとして業務開始
- 6月初旬:社会保険の切替え
今回の記事では独立へのはじめの一歩として、独立に必要な情報収集についてお話します。
独立に必要な情報収集
本項において前提として注意事項が 2点あります。
- 本ブログでは、未経験者がエンジニアとして転職するための手引と、エンジニアがフリーランスとして独立するための手引の 2大テーマを取り扱っています。ここでいう『独立に必要な情報』とはあくまで法規的に開業する(フリーランスになる)ための情報となります。『エンジニアが独立に必要な能力向上』の趣旨は含んでおりませんのでご留意ください。
- 上記の通り、本ブログではエンジニアが独立するための手引をテーマとしていますが、個別の事情や法律の改定を加味すると、本ブログのみで情報収集は万全とはなりません。本ブログでは筆者の体験をもとに多くのフリーランスに共通するエッセンスを掲載していきます。本ブログを起点に各自で調査し、納得したうえで準備を進めてください。
以上を確認いただいたうえで話を進めます。
まず具体的にどんな情報を収集するのかについて話しますが、結論としてフリーランスになる(開業する)ために必要な知識は、①開業、契約に関する法的知識、②社会保険、確定申告など税金に関する会計知識、の 2点のみです。会社員でなくなるとはどういうことか、自営業というものがどういうものか確認しておきましょう。独立後、
- どのように業務を請け、
- 日常の業務をどのようにこなし、
- 日常の事務処理をどのように行い、
- 確定申告をどのように行い、そのために必要な準備
をできるだけ具体的に想像して行動に落とし込めるくらいは調査するとよいでしょう。日常の業務はそれほど会社員と変わることがないのですが、確定申告については未経験の人も多いと思うので、その場合は入念に確認が必要です。
いろいろと書いてますが、確定申告のために必要なものを逆算するだけでも多くをカバーできると思います。また、フリーランスは社会保険の恩恵が会社員と比較してかなり薄いため、社会保障制度について勉強するのは必須となります。この段階で入念にチェックしておきましょう。
契約については、実際に交わす契約書を読めるように、取り急ぎ基本契約と個別契約、業務委託について理解しておけばよいでしょう。
尚、税金については、Web で調査するのもよいのですが、書籍だとより体系的に学習できて良いです。大河内薫さん、若林杏樹さん著「お金のこと何もわからないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!」がわかりやすくオススメです。
最後に補足ですが、フリーランス向けにセミナーなどありますが、僕は受講したことがありませんので、その是非について議論はできません。ただ、フリーランス協会などの公益性の高い団体が催している無料講習などであれば、短時間で体系的に学習できる可能性があるため、受講は検討してよいかもしれません。注意していただきたいのは、少なくともフリーランスエンジニアとなるためだけに有料のサービスを利用する必要はない、ということです。Twitter の DM などで有料のサービスや情報商材の勧誘を受けることがありますが、ガン無視して構いません。
尚、僕は会社員から突如独立を決意したわけでなく、転職活動の工程で独立を選択した経緯があります。転職期間も半年程度を見込んでいたため、比較的冷静に、かつ身軽に行動できたと思います。僕がフリーランスになった経緯については過去の記事に記載していますので、酒の肴程度に楽しんでもらえればと思います。