フリーランス

フリーランスエンジニアについて(主にメリット)

フリーランスエンジニアは会社員エンジニアとどう違うのか。そのメリットとデメリットについて説明していきます。

僕はフリーランスとなって日は浅いですが、フリーランスの恩恵こそ実感しているものの、デメリットはほとんど感じていません。条件付きではありますが、システムエンジニアは一人でも多く独立してほしいと思っている立場です。今後フリーランスのメリットや実際独立に必要な手続きなどを具体的に話していきたいと思います。

僕は20年近く会社員として働いていましたが、その歳月をもって、ようやく自分が会社員に向いていないことを認めるに至りました。ただ、フリーランスになる工程で調べたこと、実際にフリーランスになって感じたことや時代的背景も踏まえて、やはりエンジニアはフリーランスに向いている、というのが現時点での結論です。結果的に会社員であることに肯定的でないため、人によっては不快に感じる可能性もあるので、興味のない方は以降読み進めず、ほかの記事をお楽しみください

僕がこのブログでエンジニアへの転身や IT 業界への就職をサポートする記事を書いていますが、その目的はエンジニアになってお終い、IT 業界へ就職してお終い、大団円、ではありません。たしかにここ数年前から IT 業界は慢性的な人手不足であり、プログラミングの教育義務化など、世間的にもエンジニアの需要は増え続けることでしょう。

僕は完全未経験から 27歳になる直前に IT 業界に入り、相当な時間や労力を仕事に費やして、今の技術を得るに至っています。その過程には多分に無駄、とまでは言わないものの、かなり非効率なものも含んでいます。そのため、これからエンジニアになろうという人が極力最短距離で自立したエンジニアになるために助けとなればよいと考えており、その手引を記事にして公開しています。しかし、それはあくまで立上げの話であり、最終的な目的は、このブログを読んでいる方が開業や起業することにあります

それは以前、請負契約の問題を記事にしたことがありますが、こちらの記事やほかの記事でも頻繁に言及していることとして、エンジニアの需要に対して実際のエンジニアに対する扱いが見合っていないという問題があります。重要な役割を担っているはずが、ぞんざいな扱いを受けているということです。これに加えて、上記のようにエンジニアは独立開業と非常に相性がよい、というこの 2点がフリーランスを推奨する理由です。

前置きが長くなりましたが、この記事を皮切りに、フリーランスへなるための具体的なステップを何度かに分けて説明していきます。現時点は以下のステップで記事を書く方針で考えています。

  • フリーランスのメリット(本記事)
  • フリーランスのデメリットと向かない人
  • 具体的に独立までの手順

書いていく工程で掲載順など変わる可能性もありますがご了承いただければと思います。それではまずフリーランスのメリットについて本記事で説明します。


フリーランスエンジニアのメリットは以下の通りです。

  • 業務量が豊富
  • 会社員と比較して収入が著しく増える
  • 節税が幅が広く、気軽に自己投資できる
  • 働く時間、場所が制限されない
  • 上下関係がなく自己研鑽に集中できる
  • 無駄な社内政治や評価を気にせずエンジニアリングに集中できる

それぞれの詳細な説明に入る前に、前提条件を説明しておきます。

僕は自分で直接営業せず、フリーランス向けに業務を斡旋するエージェントを介して業務を請けています。その方が現時点でリスクが低いと判断しているのですが、詳細は過去の記事をご覧ください。そして僕はエージェントにフルリモート、準委任契約など幾つかの条件を提示しています。基本的にその条件を満たさないプロジェクトには参画しません。そちらも詳細は過去の記事をご覧ください。

フリーランスのメリット

業務量が豊富

フリーランスで業務量が豊富ってなんだ!?と思う人もいるでしょう。フリーランスが最も苦労することが案件の獲得にあるのは事実です。しかし、上記の通り僕はエージェントを介しており、案件獲得のための営業行為はしていません。プログラミングのコミュニティや Twitter で発信したり、このようなブログを運営してはいますが、これらは案件獲得のためでなく、売名行為です。自分の経験を体系化して整理することが主な目的であり、これを見た人が僕の能力を推測しやすくできればよいと考えています。

IT 業界が慢性的な人手不足であることは再三お伝えしてますが、一定水準を満たしたエンジニアは引く手数多です。僕もこんな変な顔してますが、現場ではまあまあなエンジニアで通っています。僕より腕のよいエンジニアは星の数ほどいますが、僕くらい(中の上)のエンジニアであれば相当ギャラにこだわらない限り、幾らでも仕事があります。

一定の経験もあるため、未経験の言語であったとしても、具体的なキャッチアップ方法、プロジェクトでの課題などをヒアリングして自分ならどのように改善するかなど提案すれば、言語など気にせず参画することもできます。仕事の内容も選べる、ということです。

尚、僕はリスクを分散するため、エージェントは 7社登録しており、懇意のエージェントはそのうちの 2社です(これをリスク分散と呼ぶのは少々微妙ですが)。それ以外のエージェントは担当のフットワークが重いのでコミュニケーションを取るのを止めました。懇意の 2社もフットワークが重くなればまた別のエージェントを探します。このように営業の窓口も選択できるのもフリーランスの強みです。自分と歩調が合う人とのみコミュニケーションを取ればよいのです。

会社員と比較して収入が著しく増える

すでにエンジニアとして現場で業務をされている方は自分がいくら支払われているかご存知でしょうか。過去の記事でエンジニアの相場について触れましたが、以下にエンジニアの単価相場(月額)を抜粋します。

  • 新人・未経験:35 〜 50万円
  • 2 〜 4年目:50 〜 65万円
  • 5年目以降:70 〜 80万円

これらは一般的な Web システム開発の相場です。会社員では諸経費が抜かれ、決められた金額(上記の半分かそれ以下)が給料として支払われることになります。フリーランスは上記金額がそのまま売上として自分の銀行口座に振り込まれます。これだけでも充分大きいのですが、給与と違い売上には別途消費税が発生します。例えば、70万円の契約であれば、10%の消費税が上乗せされ、77万円になります。また、年間の売上が消費税込みで 1,000万円未満であれば、消費税を納税する義務は発生しません(※こちら 2023.10 からインボイス制度が導入され事情が変わりましたので、詳細は政府の HP をご覧ください)。納税する必要のない税金を預かっている状態であり、使い道は自由ということです。

僕はエージェントを介して業務を請けていますが、これをエージェントを介さない場合は仲介手数料がかからないため、当然売上は増えます。相場としては 10〜15% 増加が目安です。ただ、クライアントとの直契約は手続きが増えるのと、売掛金が回収できないリスクがあることを覚えておきましょう。

節税が幅が広く、気軽に自己投資できる

個人的には上記の収入が増えることと、本項が最も大きなメリットと考えています。

エンジニアを職務として日々思っていたことは、投資費用がかさむということです。自己啓発などのビジネス書籍もよく読むのですが、プロジェクトが変わると新しい言語の本や業界知識を深めるための本などを一通り購入して読みます。ただ、ご存知の方も多いと思いますが、プログラミングの技術本は高価なものが多く、買うことをためらうことがしばしばあります。

僕はエンジニアとして遅咲きだったため、書類選考で幾度となく落とされ、炎上プロジェクトをたらい回しにされてきました(必ずしも自分に責任がないとは思っていませんが)。そして、情けないくらい会社に従順だったので、プロジェクトが変わるたびに本を買い漁り、通勤中、昼休み、休日を勉強に充て、必要に応じて、自宅の PC を買い替えたりしていました。数ヶ月単位で変わるプロジェクトに財布が悲鳴を上げていました。

しかし、今では Office 製品も JetBrain 社の IDE も、最近始めた簿記の教材も、辞書みたいな厚さの Laravel の本もすべて経費として計上して節税してます。購入費を負担することに変わりはないのですが、やはり年間だと大きな節税としてメリットがあります。

働く時間、場所が制限されない

僕はプロジェクトの参画条件(なんかえらそうですね、すいません)のひとつがフルリモートであることです。ただ、僕は準委任契約で業務を請けっており、時間精算があるため、月に一定時間以上作業をする必要がありますし、いくらでも働いてよいということでもありません。

それでも思いついたときにどこでも(セキュリティの観点から外出先ではコワーキングスペースなど個室に入る必要がありますが)作業ができます。僕は普段使っている私物の PC で仕事をしているため(これも条件のひとつですが、僕が業務を請ける条件については過去の記事を参照ください)、休日や時間外でふと閃いたことをプログラムのコメントに残したり、Slack で通知しておいたりすることで、業務がスムーズに運びます。

尚、本当に作業が輻輳して休日出勤や残業する場合を除き、業務時間外は基本的にサービス残業としています。これは単純にクライアントに理解を得るのが面倒だからです。僕が必要と思う稼働が、クライアントも必要と思うとは限りません。事前に了承も取らず、勝手に作業をしたうえ、時間外労働として申告することでクライアントは想定外の費用を僕に払うことになります。こんなことを繰り返していたら自分勝手に仕事をしていると思われても仕方ありません。そのため、たかが数時間程度の稼働で業務が潤滑に進み、信用を得られるならコストパフォーマンスは充分という判断で作業しています。そしてこのふと思いついたときのパフォーマンスは、残念ながら速度・精度どちらをとっても日常のパフォーマンスを大きく上回ります。エンジニアリングとはそういうものなのです。

エンジニアとは完成責任を負うことを除いて、なんとも自分勝手な人種です。そのことは認めます。ごめんなさい。

上下関係がなく自己研鑽に集中できる

会社員として働いていると、会社の欲する人材となる必要があります。会社が欲しているうちはよいのですが、実際には直属の上司が好む人材であることを強いられることがあります。本来部下の育成も上司のミッションですが、技術者がひしめく IT 業界では適切な教育が施されるケースはむしろ稀です。部下を放置したり、泳がせてあとから嫌味を言ったり、最悪の場合、部下をサンドバッグにすることすらあります。僕が会社員だった頃、立派な上司に出会う機会は体感的に 1〜2割程度でした。組織強化のために体系的な教育が必須であることを理解している技術者は依然少ないように思えます。

また、逆に部下ができると教育にも取り組む必要があります。部下の評価は自分の評価でもあるためです。優秀な部下であればよいのですが、残念ながらそういう人ばかりではありません。本当に恐ろしいのは優秀でないことより、やる気がなく、向上心がない部下を受け持った場合です。僕の自身、会社が中堅不足だったため、何度か新人を教育したことがありますが、あまりに酷いマインドを持った部下を担当した際には何度も眠れない夜を過ごしました。多くは悪い意味で学生気分のクレクレ君だったのです。色々と試したのですが、ほとんどが徒労、互いに気分を害した挙げ句、数年と待たずに彼は退職しました。

部下のハートに火をつけるは上司の仕事」という意見もありますが、それは人事が正常に機能している前提の話ですので、そこには注意が必要です。

フリーランスには上司も先輩も部下もいません。クライアントがいて、ステークホルダーがいるだけです。同じチームに成果が出せないエンジニアがいたとしても、本人に向上心がない以上、僕の能力や評価には一切関係ありません。(但し、チームとして成果が出せないとまた別の問題があるのですが)

無駄な社内政治や評価を気にせずエンジニアリングに集中できる

上司も部下も、雇用主すらいないフリーランスは社内政治とは無縁です。根回しをする相手すらいません。僕は自分より努力が足りていない(と思われる)人に評価されるのが好きではありません。もっとも、それを好む人も滅多にいないとは思いますが、僕は、本当に、鳥肌が立つほど好きではありません。アメリカ人なら “F” で始まる四文字熟語を連発していたことでしょう。それは日頃から多くの犠牲を払って仕事で成果を上げてきた、という自負があるためです。

今中小企業で社長や幹部社員に就いている人の多くは 40〜50代で、その多くは 20代で IT バブルに便乗して儲け、その惰性で仕事をしているような人を多く見てきました。

僕は IT 業界に入って末端エンジニア、IT 営業、マネージャを経験してきましたが、終的には末端エンジニア(=プログラマ)が最も重要なポジションであるというのが現在の結論です。それは結局のところ、動くモノを作ることが最も重要であり、守るべきポジションということになります。僕は上記の経験を踏まえたうえで尚 2023年末時点でプログラムを書いています。
現在は完全に一匹狼野良犬のフリーランスですが、今後フリーランス同士で協業したり、法人として起業し、組織化も検討しています。それでもプログラマのポジションを離れるつもりは当面ありません。それには上記の理由に加えて、自分と同じくらい、高いモチベーションで仕事に向き合える人間が非常に少ないためです。僕はマネージメントもそれなりに評価いただいていますが、マネージメントに専念すると、プログラムを見る機会を失います。自分が関わるシステムのプログラムの一切を丸投げできる人材にはそうそう出会えるものではありません。とても悲しいことなのですが。

なぜこんな話をつらつらと話しているかと言うと、システムのコンセプトは究極のところ、

問題なく動くモノを作って、誰かがそれを使って得をする。そしてその対価をもらう

これ以外の何物でもないと考えています。上記に沿わない「大人の事情」でプロジェクトの方針が変わることが何度もありました。会社員の頃は僕も何度「おとなになれ」と言われたかわかりません。自分の立場を守るだけの目的でシステムのコンセプトを捻じ曲げるのが「おとな」だとしたら僕の人生にそんなものはいりません。「こども」扱いも大歓迎です。

特定の誰かに評価されないと昇進・昇給できなかったり、上司が出世しないとその部下も昇進できなかったり、第一線から退いている中年が僕の書いたコードを評価したり、「7つの習慣」を知りもしない人間が僕の人間性について疑問を投げかけたり、これらすべてが僕には不愉快なだけの冗談に思えて仕方ないのです。
そんなことをする時間でお客様とコミュニケーションを取ったり、自分のスキル向上を目指すほうが誰にとっても(当然会社にとっても)有益だと思っています。


これまでは本当に典型的な社畜として、いくら仕事をしても増えない貯金口座にうんざりしていました。そりゃ炎上プロジェクトで貯めた残業代を次のプロジェクトのスタートアップに充てていたのでは貯まるはずもありません。やっと人生を取り返している、そう思って今は過ごしています。

次回はフリーランスのデメリットについて話していきたいと思います。

ABOUT ME
yo
フリーランス、システムエンジニア。

営業・販売、肉体労働などを経て 2007年から IT 業界に従事。文系出身かつ未経験者のため立上りに大変な時間と労力を要する。

新規システム開発を提案から設計・実装・保守・運用まですべての工程を担当する(実装は主にサーバサイド)。その傍ら、他業種・他職種の経験や上記立上りの経験を活かし、教育や業務標準化など、組織の育成に勤む。

私立大学現役合格、現役中退。基本情報・応用情報技術者取得、高度試験はモチベーション確保という観点から見送り。普通免許ゴールド保持者。

趣味は犬。